みなさん、レモンを覚えてますか?

こんにちは。
天神ブログ、オープン前に一回登場したっきりご無沙汰しておりました野村です。
日頃たくさんのお客様にご利用いただいている様子で皆様に改めてお礼申し上げます。
さて皆様、レモンを覚えておいででしょうか。
お客様によってはご来店すると必ずおひざに来ていた、
内気ですが、とっても情に厚い茶トラちゃんと
思い出されることだと思います。
レモンは享年の春、西新商店街の片隅に、ゆず、ポンカンとともに
段ボールに入れられて捨てられていました。
通行人の人々に寄ってたかってワアワア言われましたが、
だれも保護してくれる様子はなくたまたま大名店スタッフの下沢の
知り合いが通りがかり、レスキューの申し入れが入りました。
まださつまいもぐらいの大きさだった3匹を
とりあえずノミダニ、虫下しで、寒いお店の外で一晩やり過ごした後、
当時子猫が少なかった天神店に入店させました。
その後、もともとバイタリティが高い茶トラだけあって、
三匹はすくすく成長し、特にゆず、ポンカンは
その見分けが全くつかないまま、同じような大きさのままぐんぐん成長しました。
が、いつもひっそりステーションに来て、
スタッフだけに甘えていたレモンは
いつまでたっても食が細く、脆弱でした。
食べないときは、プレミアムフードのウェットやメシマコブをケージであげて
体がしっかりしてきちんと食べれるようになったらケージから出す、という作業を繰り返していました。
それがあるとき、いつまでたっても食欲が上がらないようになりました。
知らせを受け、時間外だったにも関わらず
診察を承諾してくださったバーツ動物病院に大急ぎで連れていったその晩から
レモンは緊急入院。
詳細な血液検査の結果、自己免疫介在性赤血球減少症、という病気であることがわかりました。
自分の免疫が誤作動して、健康な自分の赤血球を敵とみなして攻撃、減少させてしまう病気です。
先生方の懸命な治療によって少し食欲が戻ったとのことだったのですが
肝心の赤血球が骨髄で全く生産されていない状態で
赤血球の数値はどんどん下がっていくまま。
数日後、助かる見込みが少ないことをお聞きしました。
遅かれは早かれお迎えが来ることが免れないのであれば
最後はお店の皆と迎えてあげたい、今日はそのまま退院させ、持って帰りたい旨を相談しましたが
病状が、赤血球減少症ということもあり、今入っている酸素室から出ると呼吸困難に陥って
苦しむことが考えられるとのアドバイスをいただいたので
そのまま引き続きの入院をお願いし、面会もお願いしました。
酸素室に入っているレモンはダルそうでしたが、
ふかふかのラグに寝かされて、とっても楽チンそうでした。
眠っていましたが、「いいね~、レモン。ここにいると楽チンだね~。いいね~レモンは。」
と言ってなでると起きて嬉しそう頭を押し付けてきてくれました。
呼吸が苦しいということがなければとても元気そうに見えたので
そのままの入院をお願いし、酸素室を出ました。
ガラス越しにレモンの様子を見ながら、出口に移動し、
最後にガラスが壁に切り替わる直前に、
レモンが立ち上がって背中を丸め、しっぽをピンと立てて
喜んでくれているのが見えました。
お店であればそんな子は必ず、ゴシゴシなでてあげて、
喜んでいる気持ちを受け止めてあげるのですが
一瞬、もう一度引き返して撫でてあげようかと思いましたが
先生方も忙しい中、お時間取って面会させてくれているわけだし、
ココからまた引き返して
酸素室に入れてもらって、というのはなんだか悪い気がして、
また来てあげよう、と思い、その日はバーツ先生のところを後にしました。
その次の朝です。
バーツ先生から申し訳なさそうな声でレモンが亡くなったことの知らせを受けました。
先生のご自宅は病院の上階で、病状が重度の入院患者は、
夜中何度も下に降りて状況確認してくださっているとのことでしたが、
レモンが亡くなったのは4時から6時の間くらいだと聞かされて
本当に本当にバーツ先生に良くしてもらったのだなと思い感謝の気持ちでいっぱいでした。
その日のうちにお迎えに行き、次の朝、
お花でいっぱいに飾られたレモンは、天神店でお掃除中の鶴山ちゃんと最後のお別れをしました。
悔やんで自分を責める鶴山ちゃんに、レモンは今の獣医学では助からない病気だったから仕方なかった
と言い聞かせ、その亡骸を信頼のおける火葬屋さんにお願いしました。
レモンの遺骨は天神店の厨房にあり、毎日お水と大好きなご飯がお供えしてあります。
いつも信頼して止まないバーツ先生は夜遅い時間だったにも関わらず、入院を承諾していただき
手厚い看護もしていただき本当に本当に感謝しています。
先生がいつも残念そうにおっしゃるのは、猫の病気は本当にたくさんあってまだ
原因や感染経路、治療法が解明されていないものがたくさんあると。
その治療法や特効薬があればまだ生存率があがるが、今段階ではまだ腹膜炎や免疫介在性の病気をはじめ
致死率が大変高い病気があるのが残念だと。
それでもいまだに大学時代にお世話になった恩師の先生と連絡を密にとって
最新の研究結果をもとに最新の薬や医療を試してみることを怠っていないとのこと。
もちろん安全性が確認されたものに限ってですけどね。
本当に頭が下がります。
これから獣医学をめざそうと思っていらっしゃる学生さん。
そして日々動物の病気を研究なさっている先生方。
飼い主さんたちは、あなた方のめざましい研究結果を心待ちにしています。
どんなにどんなにあの子たちに生きていてほしかったと望んでいることか。
人間のお薬は日進月歩でどんどん開発が進み、製薬会社にも大きな利益をもたらし
相乗効果を生みますが、動物のは人間に比べてあまり需要がなく
研究してもあまり得る利は大きくないと思いますが
きっときっと、多大な感謝があなたに降り注いでくることと思います。
私たちが出来ないことをお願いします。
どうかどうか一日も早くそれらの治療法や特効薬が発明されますように。
大名店店長ノムラ でした。
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